2024年2月3日土曜日

第9話 石川・福井の方たちとの意見交換について(まとめ)(24.2.6更新)

 意見交換のテーマについて、少し整理してみました。

1、課題
原発事故発生後には2つの脱被ばく(被ばくしないこと)が課題となる。
①.発生直後の初期被ばくを避ける
②.長期にわたる、低線量外部被ばくと内部被ばくを避ける
以下では、①についてコメント。

2、 初期被ばくを避けるために
①.行政の対策・システムについて、できる限り確実な見通しを持つ。
②.その見通しを踏まえて、市民サイドで何ができるか、何をなすべきかを考え、行動する。

3、初期被ばくに対する行政の対策・システム
 一応、次のようなシステムが整備されている。しかし、現実の原発事故(福島)はこれが全く機能不全。なおかつ、その機能不全を反省していない(それどころかSPEEDIは使わないとか開き直ってすらいる)。
(1)、原発周辺にいくつものモニタリングポストを設置し、汚染状況を把握
(2)、福島原発から5キロの地点に、現地対策本部として対策の指揮を取るオフサイトセンターを設置。
(3)、住民の安全な避難に必要な情報を提供するため、(1)や(2)から得た現地の放射能の測定値をもとに、原発から放出された大量の放射性物質が拡散する方向や放射線量を予測するSPEEDIのシステムを用意。
(4)、被ばく者のスクリーニング(放射性物質が衣服や体の表面に付いているかどうかを調べること)や治療についても体制を整備。 

4、市民は何ができるか・何をなすべきか
それを考えるためには、次の3つのことが必要。
①.明確な指針(哲学)を持つこと
 → セルフケア(自分たちの命は自分で守る) 脱「行政お任せ」 脱「行政依存症」

②.行政の現実の実態をリアルに認識すること
 なぜなら、行政の前例主義から、行政は過去にやったことを今後もくり返すから。
たとえば、
(1)、福島原発から5キロの地点に設置された、現地対策本部として対策の指揮を取るオフサイトセンターが4日で崩壊する顛末ー>オフサイトセンター崩壊(6)
(2)、「行政お任せ」だった福島のヨウ素剤配布をめぐる顛末ー>「プロメテウスの罠 7」85頁以下に詳しい。

③.行政の現実の実態と上記哲学を踏まえて、市民ができる、初期被ばく回避のための具体化に取り組むこと

 ・行政のモニタリングポストに代わる、市民測定システムの構築 ->参考例
 ・SPEEDIに代わる、市民の気象条件把握システムの構築(海外のシステムとの連携)
 ・安定ヨウ素剤の配布システムの構築
 ・避難経路の具体的な検討・策定。

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